護身術というと、殴打や蹴りへの対処、あるいは首を絞められた場合の防御技術を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし現実社会で発生するトラブルの多くは、必ずしも戦闘態勢から始まるわけではありません。
むしろ危険は、ごく日常的な接触の中から突然始まることがあります。
その代表的な例が「握手」です。
握手は本来、友好や信頼を示す行為です。
しかし残念ながら世の中には、その心理的な油断を利用しようとする人間も存在します。
握手を求めて近づき、そのまま手を離さない。
突然強く引っ張る。
もう一方の手で殴りかかってくる。
無理やり移動させようとする。
こうした行為は海外だけでなく、日本でもトラブルや暴力事件の一場面として起こり得ます。
アイドルや政治家の被害例もあります。
先の衆議院選挙中も高市総理大臣が応援演説後の、聴衆との握手の際に強く引っ張られ手首を怪我しました。
握手はすでに接触されている状態
護身術の観点から見ると、握手は相手との接触が既に成立している状態です。
つまり通常の打撃攻撃のように「相手が近づいてきた」という段階ではなく、すでに腕を掴まれている状況に近い状態ともいえます。
このような場面で重要なのは、慌てて手を引き抜こうとしないことです。
相手が強く握っている場合、単純に引っ張れば力比べになります。
相手が体格や筋力で勝っていれば、こちらが不利になることもあります。
カパプ防衛術では、相手と力を競うのではなく、相手の接触そのものを利用することを重視します。
危険な状況に遭遇したとき、「どう勝つか」ではなく「どう安全を確保するか」を考えるのです。
手首をコントロールする
ハンドシェイクテイクダウンでは、まず相手が離そうとしない手首をコントロールします。
ここで重要なのは、単に掴み返すことではありません。
相手の手首の構造や関節の向きを利用しながら、自由な動きを制限していきます。
人間の手首は非常に器用に動く反面、特定の方向にコントロールされると力を発揮しにくくなります。
カパプ防衛術では、この人体構造の特性を利用します。
筋力に頼るのではなく、関節の仕組みを利用して相手の自由を奪う。
これもカパプ防衛館が重視する合理的な護身術の考え方です。
回転によって崩す
相手の手首をコントロールした後は、その場で力任せに押したり引いたりしません。
代わりに、自らが回転しながら相手の姿勢を崩していきます。
ここで重要になるのが「バランス」です。
人間は真っ直ぐ立っているように見えても、実際には常に重心を調整しながら立っています。
その重心が崩れると、どれほど力の強い人であっても姿勢を維持することは困難になります。
ハンドシェイクテイクダウンでは、手首のコントロールと身体の回転を組み合わせることで、相手の重心を崩していきます。
すると相手は自らのバランスを失い、結果として倒れていくことになります。
ここでも主役は筋力ではありません。
人体の構造と重心移動です。
引っ張りにも打撃にも対応する発想
この技術の優れた点は、相手がどのような意図で握手を利用してきた場合にも応用しやすいことです。
例えば相手がこちらを強く引っ張ってきた場合。
その力に逆らうのではなく、その動きを利用して崩しにつなげることができます。
また、握手したまま反対の手で殴りかかってきた場合も、相手の腕をコントロールしながら角度を変えることで攻撃ラインから外れやすくなります。
カパプ防衛術では、「こう来たらこう返す」という固定的な考え方だけではなく、相手の反応や動きを利用することを重視しています。
技に執着するのではなく、状況に適応する。
これも実戦的護身術において非常に重要な考え方です。
危機管理としての護身術
ハンドシェイクテイクダウンは、単なる投げ技ではありません。
握手という日常的な行為の中に潜む危険を理解し、それに対処するための危機管理技術でもあります。
カパプ防衛館では、護身術を単なる格闘技としてではなく、「危険を予測し、回避し、生き残るための技術」として追求しています。
イスラエル近接戦闘術KAPAPを基盤としながら、岩土代表が様々な武術・格闘技、さらには危機管理の知見を取り入れて体系化したカパプ防衛術には、この考え方が一貫して流れています。






